書道家・相田みつを氏とは?
書の詩人として親しまれている相田みつを氏ですが、いったいどのような書道家だったのでしょうか?
今回は、いまでも大勢のファンを持つ書道家・相田みつを氏についてご紹介したいと思います。
書道家としての相田みつを氏
単純ながらも、心に深く突き刺さる詩が相田みつを氏の大きな特徴ですが、相田みつを氏本人の書により、さらに深みが増した作品に仕上がっています。
詩があってこそ書が輝き、書が詩の言葉に命を吹き込むという、どちらが欠けたとしても作品としての円熟性に達しない、不思議な作品だと言えるでしょう。
毎日書道展に7年連続で入選を果たし、古典書道においてもその実力はかなりのものだった相田みつを氏ですが、30歳の頃には個性を打ち出した、あの独特の書体を確立しました。
貪不安(ドンファン)という雅号を有しながらも、書道師範として教室を開いたりすることはなく、看板などのデザインをして生計を立てていました。
1984年には、いまでもベストセラー詩集として広く読まれている、「にんげんだもの」を出版し、わかりやすくも心を打つ言葉と書で、多くの人に愛されている書道家兼詩人です。
古典を愛する書道家からの評判
個展を開いたり、精力的に活動していた相田みつを氏ですが、一流の芸術家であることに変わりはないものの、一流の書道家として評価されることはあまりありません。
うまい字が書けるにもかかわらず、わざと下手に書いたような書風をよく思わない人もいる一方、それを個性だととらえる人もいます。
書を愛していた相田みつを氏が、自らの書に妥協を許さなかったほど仕事熱心だったことを考えると、書道家としての評価がそれほど高くないことは、意外に思えるのではないでしょうか。
ただし、決して美しい書ではなく、ドロ臭い人間を思わせる相田みつを氏の書は、世間一般の多くの人々から支持されています。
その証拠として、相田みつを氏の作品を展示した相田みつを美術館には、いまでも人々に愛されています。